20代前半の頃、本当にお金がなかったんだけど、無理して東京に芝居を観に行っていた時期があります。20代前半というゆらゆらぐらぐらした時期に「私本当に演劇が好きだ」という作品を観ることができたのは本当にラッキーだったと思います。とはいえまじ無学でミーハーさと行動力しかなかったわたしは、大ファンだった文学座の加納朋之さんの出られる芝居をとにかく観に行くという一点突破的な方法を敢行してました。といっても東京の紀伊国屋ホールとかで行われる文学座の本公演とかではなく、その時加納さんは同じ文学座のメンバーと「Happy Hunting Ground」というユニット活動をされていて、小竹向原にある小さい劇場「サイスタジオ」で作品を上演されていたんです。このグループが上演する演目がいわゆる小劇場の作家の作品だったんです。
土田英生さんの作品をはじめてみたのがこのユニットでの上演で、それがもうとにかくめちゃくちゃ面白くて、土田さんのことも少劇場のことも知らなかったけれど、あのサイスタジオでのひと時は、人生の分岐点のひとつだったなあ、と思います。
とはいえ当時は制作でもなんでもなかったですから、加納さんはもちろんそのようなこと一ミリも顔には出されなかったですが、社交性も演劇性もゼロの20歳近く年下のぐらぐらした女子が、一人で広島から時に青春18きっぷで、駅から駅までも、駅から劇場までも走らないと間に合わないような工程で自分に会いに芝居を観に来ることはマジでかなりかなり怖かったのではないかと思います(苦笑)加納さん、ほんとごめんなさい。
土田英生さんの作品をはじめてみたのがこのユニットでの上演で、それがもうとにかくめちゃくちゃ面白くて、土田さんのことも少劇場のことも知らなかったけれど、あのサイスタジオでのひと時は、人生の分岐点のひとつだったなあ、と思います。
とはいえ当時は制作でもなんでもなかったですから、加納さんはもちろんそのようなこと一ミリも顔には出されなかったですが、社交性も演劇性もゼロの20歳近く年下のぐらぐらした女子が、一人で広島から時に青春18きっぷで、駅から駅までも、駅から劇場までも走らないと間に合わないような工程で自分に会いに芝居を観に来ることはマジでかなりかなり怖かったのではないかと思います(苦笑)加納さん、ほんとごめんなさい。
そのHappy Hunting Groundの主宰だった古川悦史さんや、出演されていた高橋克明さんの芝居も、今でも忘れられないくらい素晴らしくて旨くて色っぽくて、客席でドキドキがトマラナイでした。文学座の凄さを思い知ったなあ・・・。忘れられない演技が何個も何個もある。今でもメンバーだけでいえば、出演者全員があのクオリティを持っている小劇場芝居は観たことないような気がします。
その後、当時所属してた劇団で文学座の鈴木弘秋さんと同じ舞台に立たせていただくことになったのですが、鈴木さんも本当に魅力的な方で、あの頃はほんとバカで鈴木さんの演技の妙を全然理解できてなかったと今でも悔やまれることがたくさんあるんですが(悔泣)今でも大好きな俳優さんの一人です。久しぶりに加納さんや鈴木さんの舞台観に行きたいなあ。。。
その後、当時所属してた劇団で文学座の鈴木弘秋さんと同じ舞台に立たせていただくことになったのですが、鈴木さんも本当に魅力的な方で、あの頃はほんとバカで鈴木さんの演技の妙を全然理解できてなかったと今でも悔やまれることがたくさんあるんですが(悔泣)今でも大好きな俳優さんの一人です。久しぶりに加納さんや鈴木さんの舞台観に行きたいなあ。。。
前置きが長くなってしまったんですが、その時の忘れられないことの一つに、お名前は忘れてしまったのですが、サイスタジオを主宰されてた上品なご婦人が終演後に一言挨拶をされたことがあったんです。10年以上前のことなので、細部は曖昧なんですが内容は、ご自分がサイスタジオをされていることについて
「今、この厄介で複雑に成ってしまった荒んだ世の中で、人の心を動かし世界を変える声を届ける力を持つのは芸術だけだと思っています」
と短く、きっぱりと断言されたことが鮮明に焼き付いて離れませんでした。今でこそシアターねこの鈴木さんにすごく重なるんですが、鈴木さんみたいな方でした(笑)演劇に携わる以上わたしもいつか、ああいう断言をできるようになりたいと、強く憧れたのを覚えています。
そして今もわたしはその時の彼女の言葉に突き動かされた動力のまま、動かされ続けている気がします。
広島で原爆を取り上げた作品をプロデュースすることは、悩み考えることも多く、うまく言葉にできませんがもやもやした重たいものをぬぐいきれないままです。そもそもすっきりきっぱり行えるようなことでもないのですから、わたし自身がそのもやもやと逃げずにずっとずっと向き合い続けることが、このことに取り組むわたしのすべき仕事なのかもしれません。そして烏丸ストロークロックの柳沼さんという人との仕事で、長年考え続けてきたことについて取り組むことになったことは、ひとつの分岐点になるのではないかと思っています。
舞台芸術という方法で、あの日の広島に起きたこと、そしてその後を生きた人たちのことを、100年後もこの作品を観に来られた客席の方に伝えられるものを生み出せればと思っています。
東区民文化センター舞台芸術促進事業
広島アクターズラボから生まれた「五色劇場」の試演会「新平和」
●作・演出・構成/柳沼昭徳(烏丸ストロークロック)
●出演・スタッフ/芦田なつみ、落合晶子、梶田真悟、川村祥太、坂本悦子、坂田光平、佐々木あや、武田宜裕、田村優子、中島由美子、藤井友紀、山川愛美、山田めい(五十音順)
制作/岩﨑きえ(舞台芸術制作室 無色透明)
●会場/広島市東区民文化センター スタジオ2
●日時/2017年
6月9日(金)19:30
6月10日(土)13:00/19:00★
6月11日(日)13:00/16:00
★アフタートーク ゲスト・永山智行(こふく劇場)
●料金/一般前売り1,500円 一般当日2,000円 高校生以下前売り500円 高校生以下当日 1,000円
●主催/舞台芸術制作室 無色透明 広島市東区民文化センター
●協力/烏丸ストロークロック、変劇団、コムたんたん、INAGO-DX、NPO法人子どもコミュニティネットひろしま、アトリエ劇研、こふく劇場(順不同)
●後援/広島市教育委員会 中国新聞社 中国放送 広島テレビ テレビ新広島 広島エフエム放送 ひろしまケーブルテレビ ちゅピCOMひろしま FMちゅーピー76.6MHz
●チケット取扱い