2025年5月17日土曜日

【令和7年度芸術文化振興基金内定取下げからの手打ちツアー、来週末開演します】

 



わたしの病気の最中の申請時期だったこともあって、蓋を開けてみると手配が間に合わない事が多く変更せざるを得ない文言が発生し、わたしの力の至らなさなど事情は色々ありますが、最終的に「地域文化交流の振興と若手育成に関わる骨子にはなんら影響しない」というこの事業で最も重要な事をプログラムオフィサーとちゃんと話をさせて頂けず、取下げの指令に至った事は遺憾です。
とはいえ、「助成金がおりなかったので企画は無かった事に」という事は後にも先にもやらない事を課しているので、もちろん企画は続行です。
そうまでしても、今回は絶対に遂行したいという想いがあります。わたしの演劇人生に大きく関わるエッセンスがいっぱい詰まっているからかもしれません。
今回作品を提供くださった山岡徳貴子さんとの出会いは2004年。わたしが26歳の時です。山岡さんの劇団「魚灯」による「のちの白鬼」という1人芝居山口公演の受入制作を担当させて頂きました。


すっかり魚灯ファンになったわたしは、そこから魚灯の公演を観るためにせっせと京都・大阪に通う日々でした。
劇団を退団した翌年、その「魚灯」の東京芸術劇場リージョナルシアターシリーズリーディング公演部門参画作品「静物たちの遊泳」の劇団制作担当に声をかけて頂きました。


どうしても参加したくって、生まれて初めて就職した正社員の会社を1年で辞めて東京に行きました。

同年、2007年わたしは岡山の真庭市で、第七劇場の「班女/葵上」を観劇した事をきっかけに鳴海さんと出会いました。29歳の時ですね。

さらに翌年、リージョナルシアターシリーズリーディング部門で最優秀を獲得した魚灯の東京での本公演製作「着座するコブ」に演出助手として加わらせて頂きました。

怒涛。
怒涛の20代後半でした…。
この年、青年団プロジェクトの「隣にいても一人〜広島編〜」のオーディション合格、出演を境に役者をやめ、「C.T.T.広島」の発足を機に本格的に制作の活動を始めました。

2010年に「舞台芸術制作室無色透明」を立ち上げ、同年、第七劇場の広島初公演「雨月物語」を実現させました。


東区民文化センターでのゲネプロが小雨で、反野外の環境最悪だったんですけど、その悪環境さえも「雨月物語」という作品名に集約していく、役者たちの姿が美し過ぎて…後に藤井さんが「髪の毛の先まで演劇美にコントロールしている」と称賛した木母さんのお芝居を、わたしは今でも鮮明覚えています。


ここから約7年間、第七劇場の広島公演は続きます。

2016年、「無色透明赤字補填公演」の名目で山岡さんの「のちの白鬼」の公演を上演させて頂く事となりました。
山小屋シアターでの10日間公演。
どうせやるなら自分が役者時代、1番やりたかった作品をやろうと思ったことがきっかけです。
翌年、この作品を宮崎県三股町で再演させてもらうというミラクルが起きます。
ことの顛末については、取材してくださったkitaya505の情報サイト「mola!」に網羅されていますわ(笑)

2017年の第七劇場の広島公演「人形の家」の幕間で鳴海さんとふと話した「地域の新進アーティストの国内留学事業」が今回の企画に繋がるスタートでした。
歴史はこちらに全て記載しています

昨年度山岡さんの「そして羽音、ひとつ」がOMS戯曲賞を受賞した事は自分の事より嬉しかった。そして「この作品を上演したい」という気持ちが沸々と湧きました。
ちょうど(わたしの病気療養で中断していた)来年度のイノベーティブ公演の企画の仕切り直しをどうするかという話の最中に、鳴海さんにこのご相談をしたところ速攻で戯曲を読んでくださって、良いですね!と言っていただき、実現に至りました。(この「仕切り直し」の変更内容が、芸術文化振興基金に認可されませんでした)
各地の出演者に関しても、数年前、偶然広島公演の受け入れが決まった四国の若手劇団「片隅企画」との繋がりが続き出演者が決まり、「劇王中国」への参加がきっかけで無色透明の山田や藤井と交流が続いていた藤井君の参加など、たくさんの一期一会が繋がっています。
チラシのイラストは、前述した「隣にいても一人」の広島編出演がきっかけで出会った、当時上演劇場の山小屋シアターの管理団体にいた盟友、末田晴が描いてくれました。(めちゃくちゃ厳しい納期にも関わらず、快諾してくれて、時間を削って描いてくれた(涙))
こんな変遷を経て、20代の頃に出会ったお2人との繋がりが結実した今回の公演、正直運営はめちゃくちゃ苦しいです。
でもどうしてもやりたい、と思ったんです。その時昔、鈴木忠志さんに言われた「自分のやりたい事ができないのはプロじゃない」っていう言葉を思い出しました。
ご興味がある方はこちら

そして、先日「侍タイムスリッパー」の監督安田淳一さんのドキュメントインタビューを観ていて「やっぱりやるって決めて良かった」改めて思いました。
ちょっと話がそれますがこの映画の主演の山口馬木也さんは、全然違う時代劇のバイプレイヤーで観ていて(ここ数年、日曜日の朝に小鳥とマイナーな時代劇を観るのが習慣(笑))良いなあ、と思っていた俳優さんでした。
山口さんがインタビューで侍タイムスリッパーの撮影が押してしまい、決まっていた舞台やテレビの仕事を断らないといけなくなって、「もう二度とNHKからの仕事はもらえないかもしれない」と覚悟したとお話しされていました。「今考えても恐ろしい、どうしてあんな事ができたんだろう」とおっしゃっていたのが印象的でした。
「一生懸命やっていけば絶対誰かが見てくれている」
わたしもこの精神を失わずに、邁進していこうと思います。

きっと良い舞台になります。
少し遠いですがぜひ観に来てください!
(配信もする予定です)

~Innovative Incubation of Regional Arts~地域間新進芸術交流普及促進事業2025

「そして羽音、ひとつ」
作:山岡徳貴子(魚灯)
演出:鳴海康平(第七劇場)
出演:木母千尋(第七劇場)、宮地綾  椙田航平、藤井タツキ(カクウノ劇団)、福島優菜(片隅企画)
照明:佐々木正和(舞台芸術制作室無色透明)
音響:高橋克司(東温音響)
制作:溝部めい
舞台スタッフ:坂田光平
宣伝美術:橋本デザイン室
イラスト:末田晴
協力:片隅企画
共催:東温アートヴィレッジセンター(愛媛公演)
後援:東温市(愛媛公演)
プロデューサー:岩﨑きえ

【三重公演】
Théâtre de Belleville
三重県津市美里町三郷2104
2025年5月24日(土)14時、18時30分、25日(日)14時
チケット料金
一般 - 2,500円(当日3,000円)
25歳以下 - 1,000円(当日1,500円)
60歳以上 - 2,000円(当日同額)
高校生以下 - 500円(当日同額)

【愛媛公演】
東温アートヴィレッジセンター シアターNEST
愛媛県東温市見奈良1125 レスパスシティ/クールスモール2F
2025年5月31日(土)14時、18時30分 6月1日(日)14時
上演時間 約2時間

一般 - 3,000円(当日3,500円)
25歳以下 - 1,500円(当日2,000円)
60歳以上 - 2,000円(当日同額)
高校生以下 - 500円(当日同額)

配信チケット料金※詳細は後日HPでご案内いたします
1,000円
配信予定
6月10日〜6月20