2021年11月8日月曜日

【公演】戯曲リーディングフェスティバル2021in広島『贋作マクベス』終演しました。

 昨日、ゲバントホールでの1回のみの公演を終えました。




リーディングの公演の運営は実は初めてです。

リーディングというのは大雑把に言うと「俳優が台本をもってシンプルなしつらえで上演する」というスタイルのものですが、どうしても「本公演」には至れない難しさがあると思っているからです。

リーディングのよさは、確かにある。しかしそれをちゃんとお客様からお金と時間を頂いて「公演」とするには、相当な演出のスキルというか、センスが必要だと思うからです。「これなら目をつぶっていても別にいいよな」「読んでいる役者をみるより自分で台本読みながら聞いていればいいな」では、役者がわざわざお客様の前に立って上演する必要がない。それでは本末転倒だからです。実際わたし自身がそういうリーディング公演に遭遇する事の方が多いという経験があるから、積極的になってこれませんでした、

リーディングの醍醐味は「戯曲を聞かせる」ことだけれど、同じ空間に居る以上「観る」ということの面白さ、視覚がさらに聞こえる本の世界を拡張する相乗効果があって欲しい。中々そのしちめんどくささ(苦笑)に向き合う暇もなく、様々な事業に追われているため、今回劇作家協会の本部から来たこの「リーディング企画」の話がなければ着手することはなかったかもしれません。

結果、本当にやってよかったと思っています。

演出の亀尾さんは、とても柔和な方ですが、やはり演出家としての技量は抜きんでていて、決して手を抜かない諦めない。自分を大きく見せる事もなく、しかし決めるとこはバシッと決め、実直に作品と向き合い、役者に寄り添い、すばらしい稽古場を創ってくださったと思っています。今回の公演に亀尾さんの演出ブッキングはマストだと推した勘は間違っていなかったと思えます。

また、直前に劇作家協会の丸尾さんが斡旋してくださった、「贋作マクベス」の作者、柿喰う客の中屋敷法仁さんとのオンライン対談も、とてもよかったです。「ああ、絶対にいい公演にしなければ」とひしひしと感じさせられました。youtubeでご覧いただけるので、ぜひとも。

《オンライン対談 中屋敷法仁(作)✕亀尾佳宏(演出)》戯曲リーディング2021in広島 日本劇作家協会中国支部プロデュース『贋作マクベス』

https://youtu.be/XsBY3oLg0fs


初めて利用する広島の民間ホール、ゲバントホールさんにも大変お世話になりました。テクニカルスタッフには初めての事も多く、おおいに苦労をかけました。それでもちゃんと最後までコミュニケーションをとりながら一緒に創れたことがやはりうれしいです。わたしの現場はとても小さくたいしたお金にもなりません。小手先でやってしまおうと思えば大抵のテクニカルスタッフならこなせるようなことかもしれません。ただ、キャストにもスタッフにも、たいしてお金にもならない上に色々オーダーやらこだわりやら、大変だけど数ある現場のただの一つではなかったな、あーでもないこーでもないと一緒に苦労するのも演劇の現場の愉しさだな、岩﨑きえの現場入れて良かったな、と思ってもらえる仕事をしたい。ということを制作者としての目標としています。本当に「どうだった?」と聞くことはできないけれど、そう思ってもらいたいと願いながら、これからもこの仕事を続けていくのだと思います。

正直、たった1回のリーディング公演には見合わないほどの労力とお金がかかりました。しかし、久しぶりに緊急事態宣言でもなんでもない状況で公演を開催し、お客様からとても面白かった、生で観れてよかった、というお言葉を聞くことができることが、なによりの喜びでした。

ご来場くださった皆様、本当にありがとうございました。

劇作家協会の本部から、劇作家・演出家・俳優の丸尾聡さんがご来場くださり、アフタートークに出演してくださいました。
左から、劇作家協会中国支部長・藤井友紀氏、今回の公演の演出家亀尾佳宏氏、トークゲストの丸尾聡氏、司会のわたしです。










20歳になった出演俳優・井田真裕と一緒にお誕生日のお祝いいただきました
歳の差23歳・・・もはや親子です。申し訳ない(苦笑)

【戯曲リーディングフェスティバル2021 〜街を元気に 演劇を元気に in広島】

『贋作マクベス』

作:中屋敷法仁(柿喰う客)

演出:亀尾佳宏(劇団一級河川)

【日時】

2021年11月7日(日)15:00開演

【会場】

ゲバントホール(広島県広島市中区本川町2-1-13 和光パレス21 5F)

【料金】

一般 1,500円(当日2,000円)

高校生以下 500円(当日 1,000円)

【出演】

井田真裕、尾山咲乃(グンジョーブタイ)、小林冴季子(グンジョーブタイ、舞台芸術制作室無色透明)、長澤拓真(グンジョーブタイ、舞台芸術制作室無色透明)、春風日和子(Unit Jun-Na)、松陰未羽(グンジョーブタイ)

【コメント】

中屋敷法仁氏が高校時代に書き下ろした『贋作マクベス』は、シェークスピア『マクベス』で大会に挑む、とある高校演劇部の青春劇です。

この作品を新型コロナによる制約の中で、演劇の自由さや表現することの楽しさ、喜び、そして豊かさを「大人たちが真剣に楽しんで創る高校演劇」を通じて、多くの方々にお伝えできればと思っております。

【スタッフ】

照明:村上哲也(株式会社フルライトユニオンコーポレーション)

音響:深川優樹(株式会社サウンドカンパニー)

舞台監督:岩﨑きえ

制作:一般社団法人舞台芸術制作室無色透明

当日受付スタッフ:石橋摩季、川村祥太

広島運営委員:藤井友紀、岩﨑きえ、武田宜裕、山田めい、はまの省蔵

【主催】一般社団法人日本劇作家協会

【お問い合わせ】

日本劇作家協会 中国支部