2021年8月12日木曜日

【事業】イノベーティブ公演明日小屋入り

 






来週公演のチケットが中々動かず、不安と不安と不安で眠れない日々が続く。

この世界が、一生懸命がんばっていいものを創ればお客様が来てくれる、という甘い世界じゃない事はわかっているけれど、最近12、3年前、鈴木忠志さんにさせてもらったインタビューを自分で読み返す機会があって「演劇が日の目を見ない理由は、歴史のどこかで信用を失くしてしまったからだろう」という一言が12、3年越しに刺さった。

我々が行う創作は、原価率が高いどころか毎度毎度完全に原価割れを起こしている。経営者としては完全に失格である。

しかし演劇を観る事が一般に浸透していない文化と地域で、なるべく多くの人に、気軽に来ていただきたいので、こちらの都合で予算を回収するためだけに、チケット料金を例えば気軽に参加できる飲み会参加費以上とかに安易に上げる事ができない。(回収しようと思ったらチケット代7,000円にしても人件費に回るか回らないか。そもそもの客席数も少ないので)

一方で知人の中には「安い演劇の公演は(危ないから)観に行かない」という方もいる。

そのご意見もごもっともだと思う。安かろう悪かろうで実際そういう公演に一度でも遭遇したら、安いからまあいいか、とは中々思えない。何故なら演劇を観るのには時間も労力もかかるから。

少しでも演劇への信用を取り戻したくて10年間、その時できる限りの良い作品、時間もお金も無駄にしたとは思われないものを必死で提供してきた。と思う。中には好みじゃないと思われるものもあったかもしれないけれど、二度と演劇なんかゴメンだという想いをさせるような適当にご都合主義で創られたものはないはずだ。とはいえ中々想いは結実しないものという事を毎度毎度思い知る。何をどうすれば演劇を観に行ってみようかなという心に届くのか、友だちや知り合いが出る公演だからという理由以外で演劇を観る人が増えてくれるのか、10年経ってもまだ苦しんでいる。演者もスタッフも、必死でいいものを作ろうとしてくれているのを知っている分、もしかしたらその結果がガラガラの観客席になるのかと想像するだけでつらい。やめたくなる。なんで率先してこの苦境を味わう制作なんかやってしまっているんだろうと思う。

でも仕方ない。わたしは演劇に関しては制作しか才能が無かったから。劇作も演出も俳優も美術も照明も音響もできない。それでも演劇を続けたかったからこの道を選んだのだから。

芸能人も出ないし有名な音楽も流れない。派手なパフォーマンスも勝敗の面白さもない。心が動いた1人1人に足を運んでもらうことでしか成立しない興行は重く苦しいけれど、素晴らしいメンバーと共に、真っ当に、時間もお金もかけて誠意を持って創れている演劇という自信があるから最後まで諦めないぞ。

ただ、来場を予定くださっているお客様へ

コロナの感染拡大、帰省自粛、そして週末の大雨予報。多々ご心配ご不安があると思います。

どうぞ、ご無理なさらないでください。

我々は決して「コロナなんて吹っ飛ばせ!」とか「喧嘩上等!コロナに負けるな!」などという心づもりで公演を行うわけではありません。

今出来ることを、出来る範囲で、細心の注意の元心を込めて行いたいという思いでの公演です。

明日小屋入りするスタッフ、キャストは全員ワクチン接種済みもしくは抗原検査を行なって公演に臨みます(役者は稽古前にも検査を行っています)

それでも100%安全です、と申し上げられるわけではありません。少しでもご心配がある場合、いつでもキャンセルのご連絡をくださいね。

お車でお越しのお客様、ホールと、ホールの隣にある駐車場がご利用頂けます。