8/6、柳沼ラボの開催の日と重なったことで、ラボメンバーで平和祈念式典に行きました。
広島にずっと住んでいても行ったことがないことがない人も多く、わたし自身も高校生の時に行ったきりで約20年ぶりに行きました。
柳沼さんは作品作りにフィールドワークに重きを置いていて、現在ラボの稽古でも、「デッサン」という稽古に重点を置いています。
演じるうえで、まずは他人を細かに観察し再現するこの「デッサン」という作業は非常に有効だからだそうです。
役者に実際に街に出てもらって、自分が気になった人を観察し、それを稽古場で完コピして2分間再現をしてもらうのです。役者は普段、何気に見ている普通の人を自分自身で再現という表現に変換することで、異化し、観ている他の人に「自分の演技」として伝えます。
とてもおもしろいです。
台本ありき、本番ありきではない稽古の中で、俳優たちは普段意識することがない自分の中の感受性、肉体と向き合います。
それについて、柳沼さんから「じゃあここからその演技のディティールを上げていくには」という細かいアドバイスが交わされ、彼らはひとつひとつそれを自分の中で積み上げていきます。
同じくらいの時間、座学で、演劇の歴史や創作、表現について、演じることのロジックなど、演劇そのものについての教養を深めてもらっています。
劇的でもなく、飛んだり走ったり歌ったりすることのない、地味で地道なワークですが、非常に濃密な稽古時間を経て、「共有事項」を増やしていきます。
昨日の平和祈念式典もその一環で、役者一人一人に、何を見て何を感じ、自分と「原爆」というの距離はなにがどうなっているかを考えてもらいました。
たぶん、普段普通にに暮らしている社会の中では、考えることも誰かに話すこともないであろうことが多いと思います。そういうことをこのラボという空間で、みんな実践しています。
彼らがそれを積み上げ、役者としてどう変化していくのか、とても楽しみです。
来年の6月、試演会として作品を創ることが決定しました。
打ち上げ花火ではない演劇作品作りをみんなで実践していきたいと思います。