広島の演劇作品が、あのこまばアゴラ劇場のラインナップで上演されることはおそらく初めてだと思います。
2007年、山小屋シアターで上演された「隣にいてもひとり~広島編~」のオーディションに合格し、テレビや雑誌のなかでしか知らなかった平田オリザさんという人の演出作品に出演しました。
その経験がもたらしたものは、漠然とした自分の演劇人生の絶望と希望でした。
広島で演劇を続けても、こういう演出を受けられる舞台に役者として出られることはもうないだろう、という絶望。
なぜ、無いのか。これからも永遠に無いのか。いい作品に出演するためには広島を出ることしか、野心ある役者に道はないのか。
その上演をもってわたしは役者を引退しました。
徹底的に絶望していた一方で、当時の(かなり馬鹿だった)わたしは今に見てろよ、という、まったくアテも根拠もない情熱に燃え始めました。
今ないのなら、その一歩目をわたしが作ればいい。
広島でだってすばらしい作品に出られる基盤を作ればいい。
見目形がいいわけでも、ずば抜けて演技力が高いわけでも、実家がお金持ちでもないわたし如きが、一時の役者熱に浮かれてひとり東京にぽっと出たってたかが知れている。だったらここでしか出来ないことをしよう。広島は演劇砂漠かもしれない。でも東京ジャングルに埋もれる1本の木でになるのではなく、ここで仲間をつくって彼らと広島砂漠に茂る森になろう。東京に出たいなら広島から東京に公演にいけばいいだけのことだ。
わたしみたいなちっぽけな絶望で、広島に居ることを選んで役者を引退するような選択肢を後進たちが選ばなくていいようここに豊かな創造の拠点を創ろう。
広島に戻って来て15年、無色透明を立ち上げて12年。
あの時山小屋シアターでひそかに燃えはじめた埋火は、あの時まだ道の遠くはるか彼方にあったアゴラ劇場にたどり着くことができました。
襟を正して臨みますので、どうか東京界隈にお住いの方々のご来場をお待ち申し上げております。
【烏丸ストロークロック×五色劇場「新平和」東京公演@こまばアゴラ劇場】
3月3日(木) 19:00
3月4日(金) 13:00/19:00
3月5日(土) 13:00/18:00
3月6日(日) 13:00
上演時間:120分
チケット予約フォーム:https://www.quartet-online.net/ticket/shinheiwa_tokyo_miyazaki
一般前売/3,800円、25歳以下前売/2,800円
京都公演写真撮影/©︎井上嘉和
出演/東圭香、小林冴季子、坂田光平、澤雅展、高山力造、福井菜月、深海哲哉、松陰未羽、山田めい
スタッフ
音楽製作:山崎昭典
舞台監督:北方こだち
照明:渡辺佳奈
音響:佐々木恭平
演出助手:藤井友紀
宣伝美術製作:モリナガ・ヨウ 宣伝美術デザイン:橋本純司
制作:岩﨑きえ 富田明日香
主催:舞台芸術制作室無色透明、烏丸ストロークロック
提携:こまばアゴラ劇場
こまばアゴラ劇場公演詳細サイト
http://www.komaba-agora.com/play/11184