2025年2月11日火曜日

「生きづらさ」という言葉で片付けたくない



 わたし達無色透明はここ数年、演劇を通じ「障がい」とそれを取り巻く社会に向き合い学んでいます。

彼らは医学的には「障がい者」とカテゴライズされているかもしれないけれど、ひとたび「表現」のフィールドで共生すると、長年演劇をしてきた我々を凌駕する感受性を発揮する瞬間があります。

わたし達はどんなにがんばっても本当の意味で障がいのある方達の立場になることはできません。演劇というフィクションで彼らを描くことはどこかタブー視されているテーマの一つだと思います。今回この企画で脚本を手がけた山田めいは、あえて障がい者を障がい者として描くのではなく、「もしわたし達が障がい者とカテゴライズされる社会だったら」という視点でこの作品を描いています。

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それは長年、彼女自身が彼らと寄り添う中で「合理的配慮」という社会通念への違和感や煩悶を顕しているように思えます。

現代社会は多くの「基準」に溢れ、そこからこぼれる人たちは「異なるもの」という属性を与えられ配慮されるべき対象とみなされます。もちろんそれらは時に彼らの助けになっていることに異論はありません。しかし、世の中の多くのそれらは「こちら側」の理論に過ぎない、という危険性を孕んでいる、とわたしは常に自分に言い聞かせています。

「合理的配慮」という日本語が生まれ、それらは善行としてオフィシャル化されています。わたしは演劇を行う人間としてこの「合理的配慮」という言葉に連なる行為を、時に信じ時に疑い続けたいと思っています。

他者の立場になって、考え、感じる。合理的にそれらに配慮することは本来とても難しい事です。しかし「演劇」とは本来それらを世界に立ち上げる役割を担う表現芸術です。そこに可能性を感じています。しかしそこには「合理性」は介在しません。あくまで非効率的、非経済的に、人との繋がりを重視することに重きをおいています。この言葉がただの社会機構となってしまわない事を願ってやみません。

彼女の描こうとする世界にはいま、演出とエキスパートの役者と若い役者が共に挑んでくれています。

夜明け前、開花前。

暗中模索の中にある彼らに対すると、プロデューサーなんて無力なもので、彼らを応援し励ますことしかできません。

しかしきっと、この座組なら成し遂げてくれると思っています。

「本当に困りません、って僕が言われてきたとしたら、それは、はかりかねます」

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作 山田めい [舞台芸術制作室 無色透明]

演出・構成 鳴海康平 [第七劇場]

出演

井田真裕 [お庭のなまたまご]

木母千尋 [第七劇場]

椙田航平

堀慎太郎

安尾琢杜

​広島公演

2025年

3月1日(土)14:00 / 19:00・2日(日)14:00

※受付は、開演の30分前スタート

山小屋シアター

〒733-0011 広島県広島市西区横川町3-12-3 アンゴラビル3F​

チケット料金

一般前売 3,000円(当日3,500円)

25歳以下前売 2,000円(当日2,500円)

高校生以下(前売・当日共)500円

65歳以上(前売・当日共)2,000円

広島配信チケット1,000円

舞台美術・音響・照明 今井歩、山田瑞希 [名古屋芸術大学舞台芸術領域]

照明補佐 佐々木正和 [舞台芸術制作室 無色透明]

配信・映像編集 合同会社Shape

チラシ写真:川本理壱

宣伝美術 橋本デザイン室

舞台スタッフ 坂田光平 [舞台芸術制作室 無色透明]

プロデューサー 岩﨑きえ [舞台芸術制作室 無色透明]